機動戦士GUNDAM SEED Revival-Ver.ARIS-

「機動戦士GUNDAM SEED DESTINY」のその後を描いた二次創作サイトです。オリジナル成分多め。戦闘成分多め。更新頻度は……キカナイデクダサイorz コメントか拍手で感想とかいただけると管理人が嬉しがります。

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ディアブロ案1 続き 

機動戦士GUNDAM SEED Revival(設定資料)

さて、次の問題は武装である。前述の通りディアブロはまともな武装を携行できず、攻撃手段はパルマフィオキーナのみとなる。しかし、ここで追い風は『莫大なエネルギーによる潤沢なパルマ精製能力』であった。初期は球体のみの安定した形状のみであったが、次第にサーベル上に精製したり、形状を変化できる様になってきたのである。ビームサーベルの精製技術をエネルギーゲインだけ桁違いにした様な理論は、割合すんなりと結果として残す事が出来た。要はパルマで精製させたビームの壁は同じくパルマで精製させたビームで突破させればいいのである。遠距離攻撃時にはパルマでビームバリアを突破後、パルマを展開させれば爆発は発生させる事が出来、その爆発時のパルマ形状を筒状にしておけば一応の指向性を作る事が出来る様になった。擬似的なビームライフルと言えばいいだろうか。

この様な発想からディアブロは背部、両掌、両足裏にパルマ発信部を装備する。その結果、出鱈目な出力と法外な火力を保持する凄まじい機動兵器としてロールアウトしたのである。

しかし、まだ問題は残る。一つ目の問題は運用面に致命的なものがあるという事、パイロットに掛かる負担が甚大を通り越して殺人的であると言う事、撃墜される確率より自爆する確率の方が高いというものである(!)
運用面は当然のことながら他の機動兵器との連携は不可能であるという事である。周囲に大小の爆発を発生させながら機動するモビルスーツ……敵ならまだしも、味方は周囲に配置できるものではない。
パイロットに掛かる負担は、爆発により機動するというポイントもある。爆発と時機の位置関係により発生する圧力はその時々により違うため、予期せぬ機動は当たり前、まして爆発を繰り返すという機動をした場合はパイロットの思惑とはかけ離れた完全な運任せな機動を余儀なくされる恐れもある。
最後の自爆確率は、これがディアブロ最大の悩みの種だろう。様々な圧力により何とか機動したにしても、有り余るエネルギーから発生する熱量は甚大なもので、機体周辺はおろかコクピット内までもが高熱に晒される事となる。背部放熱板はその熱を必死に排熱し続ける関係で、陽炎の様な『炎の翼』を発生させる。コクピット内は耐熱用のパイロットスーツ着用を余儀なくされ、最大出力で数分起動し続ければパイロットは灼熱地獄に晒される事となる。

『悪魔の悪戯』――いつしか、ディアブロ開発者が呟いた言葉。到底正気では発案できないモビルスーツ計画案。
しかし。だがしかし。
ただ一人、この暴れ馬を通り越した発狂マシンを乗りこなせる者が居たのである。
シン=アスカ。絶望の悪夢を越え続けた、彼だけが。
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デスティニーディアブロ(案1) 

機動戦士GUNDAM SEED Revival(設定資料)

diablo3.jpg


さて。久野さんが異様に頑張ってくれてディアブロの案が出来上がりました。
僕として(アップは遅れに遅れてますがorz)まずは設定案を提出します。


機体コンセプトは『モビルスーツからの脱却』
カタチこそ人型だが、内容は全くの別物というイメージです。

一見して翼に見える背部の6つのパーツ。これは実は放熱板である。後述するが、これはデスティニーディアブロ(以下ディアブロ)が異常なまでの熱量を放出し続けなければならないという機体そのものの弱点を補完するためのパーツなのである。
通常の機体であればこの部分にはバーニアやスラスター等、機体の推力を作り出す為のものが搭載される。しかしディアブロの場合、その例には当たらない。そもそもディアブロには姿勢制御や最低限のスラスターは存在するものの、いわゆるメインスラスター、主推力に当たるパーツが存在しないのである。
ではディアブロはどの様にして推力を得るのか? その答えはデュートリオン=クラフトシステムと総称される、パルマフィオキーナシステムの総括からヒントを得られ、イグダストにも搭載されていたデュートリオンフェイズシフトシステムの新たなるカタチである。

デュートリオン=クラフトシステムを理解する上では、以下の三つのポイントを抑える必要がある。
1)ビームエネルギーは波長の合うモノであれば、吸着・接合される特性を持つ。
2)デュートリオンフェイズシフトシステムはエネルギーに指向性を持たせるもので、エネルギー逆流による反発を発生させないものである。
3)上記のエネルギーを効率的に発生させるためには戦艦・基地レベルの大型ジェネレータが必要となる。

かつての大戦においてデスティニーはパルマフィオキーナシステムを搭載しており、その破壊力は凄まじいものがあった。同時に、余りのオーバースペック故に機体そのものに不安定を生じ、最終的には核動力機体としては有り得ないシステムダウンという惨状を招いてしまった。パルマフィオキーナを精製する上で必要となるビームエネルギーを吸着させるシステムとは、元々が戦艦レベルに搭載されるシステムとして研究がなされており、モビルスーツサイズにダウンサイジングさせる技術は素晴らしいモノがあったとしても、搭載するべきでは無かった。他に多様なウェポンを搭載できたデスティニーであれば、尚更である。
しかし、である。オーバースペック故に大動力が必要なのであれば、その大動力を用意すればもっと応用できるのではないだろうか? そしてそこで登場するのがデュートリオンフェイズシフトシステムである。このシステムは上記の通りエネルギーに指向性を持たせるシステムで、実はこれ自体がエネルギーを大幅に跳ね上げるシステムではない。しかし、相互干渉しあい、それを調整して対応する旧来のシステムと比べて、このシステムが画期的とも言える提案を可能としたのも事実である。それは旧デスティニーでも搭載を期待された『核融合炉を二基搭載する』という、離れ業である。
エネルギーを生み出す機関が二つある場合、最大の問題は相互のエネルギーの反作用を調整し、発生するエネルギーを効率よく運用するシステムが必須となる。何も考えずにエンジンを二基掲載したとしても、相互反発により結局一基分のエネルギー効率より落ちる……その様な実験機は数多存在する。しかし、デュートリオンフェイズシフトシステムにより発生する指向性エネルギー。これによりこの問題は一気に解決する。この段階によりディアブロは『基地・戦艦レベルに匹敵する大出力』『エネルギー効率の指向性による最大運用』を解決した夢のマシンとなった……なるはずだった。
エネルギーに指向性を与えた結果、ディアブロは常時エネルギーを消費し続けなければならない、モンスターマシンと化したのである。理想や理屈の作り上げた皮肉な結果、と言えばよいだろうか。結果としてまともな武装が搭載できない(=通常の携行火器ではオーバーフローするエネルギーの受け皿としては脆弱であった)という、戦闘兵器としては本末転倒なマシンと成り果ててしまったのである。
結果として搭載できる武装はそもそもにオーバーエネルギーを要求するパルマフィオキーナのみ。しかし、この武装の搭載によりディアブロは更なる変貌を遂げる。
機体背部に存在するランドセル、これは背部から見ると掌部パルマ射出機構と酷似している。そう、ディアブロは背部から大型のパルマフィオキーナを精製できるのである。そしてそれを展開するとディアブロはまるでシャボン玉に包まれた様な様相となる。ディアブロは機体周辺にエネルギーバリアを精製できるのである。
それだけ聞くと素晴らしいシステムである。しかし、この様なモビルスーツは今までも考え出され、そして消えて行った。それは『今度はどうやって攻撃する?』という問いと『どうやって進む?』という悩みに答えを出さなければならないからである。スラスターで推力を得ようものならバリア保持は厳しくなるし、まして武装はそのバリアを突破しなければならない。防衛用武装で自らの武装を潰す。これまた本末転倒となってしまう。
しかし、ディアブロは更なる無茶でこの問題を消す。背部パルマジェネレータは連続的にパルマフィオキーナを発生する事が可能で、更に各パルマはエネルギー波長の調整により、『吸着』『分離』を選択出来るようになった。結果としてビームバリアの外にパルマを発生する事も出来……そして爆発を引き起こすことも可能となる。そう、ディアブロの主推力とは『機体周辺で爆発を引き起こす事で、その反作用によって機動する』という無茶を通り越して発狂したかの様な代物なのである。


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近況報告 

未分類

最近の近況をつらつらと。

第二子(次女)が生まれました。
スマホが壊れてデータが飛びました。
久野さんよかったらメール下さい(;´д`)

そして、パソコンも死にました。自作なだけに結構な頻度で死にますねー。

何はともあれ、生きてます。

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2-7 

 SEED Revival-Ver.ARIS-    第二部「人を超えし者達」




紅き鳥、忘れ形見を求め。
黄金の獅子、紅き鳥を見送り。
――自由の翼が舞い降りなければ、
黄金の牙が獅子に迫り来るであろう……。




 「……何、してたの?」
 「イタズラ電話」

 楽しそうに、金髪の男が返答する。その男に黒髪の女性、シノ=タカヤが刺々しく言い放つ。

 「馬鹿みたい。そんな事、受け付けてくれる訳ないじゃない」

 ぷい、とシノ。その様子はとても愛する男にする仕草とは思えない。毛嫌いしている、生理的に受け付けない男への仕草だった。

 「貴方がカシム=マリディアだっていう事はよく解ったわ。解り過ぎるほど。だから、さっさと戻って頂戴――セシルに。セシルの言う事を聞いて貴方に会って見たけれど、お生憎様。貴方よりセシルの方がよほど良い男だわ」
 「冷たいねぇ。姿形、声までみんな一緒なのに」
 「だ・か・ら・よ!」

 そう。その流れるような腰まで届く金髪、精悍な眼差し、そして紡がれる音楽的な声――それは確かにセシル=マリディアの、シノが愛した男の姿。だが、一点だけ。一点だけ、大きく違う点があった。
 イタズラっ子の様な、にたりとした笑顔。それだけで、カシムという人間性が解りそうな笑顔。それは、セシルの優しい笑顔とは掛け離れたものだった。
 二重人格、そう言っていいのか。それは変身といっていいほど唐突に、大幅に変わる。セシルがシノに「会って欲しい」と懇願したカシム=マリディア――スーパーコーディネイターとセシルは呼んでいた――が、今シノの眼前に居る。だが、シノの反応は上記の様なものだった。
 溜息と共に、シノが言う。

 「……なんだって、アンタみたいなのにセシルは心酔しているのよ」
 「そりゃだって。俺がアイツの上位人格みたいなもんだから。アイツが出来ない事を、俺なら出来る。それだけの事なんだよ」
 「人間を出来る、出来ないで判断しないでよ! 気持ち悪い!」

 それは、セシルという『人』を愛した少女の清廉な気持ち。セシルという人格を大事にしたい、という気持ち。
 だからだろう。カシムがセシルの上位人格として説明された時、シノはカシムに強烈な嫌悪を抱いたのだ。

 「あー、どうやら嫌われちゃったかな。仕方ないか……」
 「解って戴いた様で、大変光栄だわ」

 ぽりぽりと頭を掻くカシム。「色々大変なんだぜ、これでも」とぶつぶつ呟くが、一方のシノは聞く気もない。

 「まあもう少し付き合ってくれる? そうしたら、俺はしばらく眠りに付くからさ」
 「……出来れば一生、寝てて欲しいわ」

 強い口調でシノ。その言葉に何故か満足げに頷くカシム。

 「そうさ。その為に――その為に俺は今、動いているのさ。俺みたいなのが、ゆっくりと眠る為に。俺達みたいなのを『臭い物』扱いにして、蓋をして見なかったフリを決め込んでいる連中に、『罪』を刻み込んでやる為に。今が誰の犠牲で平和になっているのか、知ろうともしない馬鹿供の為に。それが終わったら、俺はゆっくりと寝るさ――俺だって、『セシル』で居た時は幸せだったんだからさ」
 「…………」

 にやりと笑い、しかし瞳は獣の様に。それは、シノに恐怖を覚えさせるには充分なもの。
 セシルには無かった、強固な意志がそこにある。それはシノにしてもカシムが上位であると認識させるに充分なものだった。




 オーブはアカツキ島、『歌姫の館』。
 館の主であるラクス=クラインは鼻歌交じりでテラスに繋がる渡り廊下を歩いていた。降り注ぐ木漏れ日が幻想的に視界を演出し、それもラクスの機嫌を良くしていた。
 ラクスは何となしに手に持っていたパンフレットに目をやる。そこには実験も無事終了し、来週にはロールアウトが決定した新型モビルスーツ、エアリアルフリーダムのスペックが事細かに記載されていた。

 「キラの新しい翼――完成ですわ」

 その様は、夫に新しいスーツを仕立てた妻の様子に酷似しているだろうか。今までのフリーダム系設計思想を大幅にリファインし、最新・最強のスペックを誇るエアリアルフリーダムは、天使の輪を掲げるそのフォルムとも相まって正に『天空の大天使』といって差し支えないものに仕上がっていた。
 ロールアウト直前の実験で予想外の実力を発揮してしまい、その経過鑑査の為にしばらくの間、月面にある実験施設で調整を余儀なくされたが――それも無事終了。後は、納品を待つだけである。

 「キラがこの機体に乗る……」

 我知らず、微笑みが漏れる。今までとは違う、戦いに行く為の機体ではない。平和な世の中を維持する為の、象徴となるべき機体。争いに溢れる世の中を、統率するべき機体。統一地球圏連合の、『歌姫の騎士団』の技術を全てつぎ込んで建造された機体である。キラが搭乗した場合、どんな場合でも敗北する可能性はないとコンピュータに断言されたスペックを持つ機体――それはラクスにとっても安堵できる事なのだ。
 それになにより、ルックスが良い。ラクスにも妙な拘りはあったのである。

 「キラ。エアリアルフリーダムがロールアウト決定され……あら?」

 テラスの端にあるベビーベッド。そこにはナージャが寝かされていて、その脇に夫であるキラ=ヤマトが居る――筈だった。
 そこに居たのはナージャだけ。キラがナージャの傍を離れるのは最近そうは無かった事だし、ましてそこに誰も居ない――ナージャだけが居るなんて事はあり得ない筈だ。メイドは呼べばすぐに現れる。それすらキラはしなかったのだろうか?

 「……キラ? どちらに?」

 我知らず、ラクスはナージャを抱きかかえる。重さと温かみが、現実のものである事を教えてくれる。

 「あー」

 ナージャの無邪気な微笑み、そして伸ばされた可愛らしい手。しかしそれが頬に触れても、いつもの様にラクスは微笑む事が出来ないでいた。



久しぶりに見たシンさんの顔。それは『惑い』と表現すればいいでしょうか。
揺れる紅い瞳、行き場無く震える肩。確かなものを探そうと開かれたままの掌。
――そう、確かにシンさんは迷っていました。
けれどそれは余人には推し量れることの出来ない絶望からの迷いだったのです。



 
 「……今更、何だよ」

 やっと、その一言を搾り出す。静まり返ったスレイプニールのブリッジで、静かにこちらを見据えるカガリの瞳を見返して。力無く――だが次の瞬間、激情と共に。

 「今更、何だってんだ! アンタがした事は、今更取り返せるもんじゃないだろう! オーブも、ZAFTも……二度も、俺の故郷を焼き滅ぼしておいて、今更何だってんだよ!」

 言ってから、シンは気付いていた。「ああ、そうか」と。
 自分が何故カガリがここまで嫌いなのか、自分が何故カガリ暗殺を請け負ったのか。自分の守りたかったものをことごとく潰したと、思えるからだったのだと。
 吐息と共に、シンは俯く。床を見て、今が現実なのだと割り切りたかった。
 一呼吸置いて、時が流れる。ややあって、カガリが口を開いた。

 《……批判は受け入れよう。私の決断によりそうなった事は、事実なのだから。しかし、それを踏まえて質問したい。
シン=アスカ。君は今でも平和な世の中を望んでいるのか?》
 「…………!」

 シンは、改めてカガリを見据える。違う――今までの、あの頼りない小娘じゃない。
 静かにこちらを見据える瞳。動揺の見えない様に、抑えられた唇。統一地球圏連合の盟主としての貫禄、それが今のカガリにはある。

 《君のガルナハンでの活躍は聞き及んでいる。そして、それの意味するところも、だ。君は広く人々の為、平和の為、仲間の為に戦った。それこそどんな劣勢でも、苦境でも、凄まじいばかりの勢いと勇気を持って。だが、何故だ? 何故、今君は人々から称えられ、賞賛されていない?》
 「それは……!」

 痛いところだ。ブリッジの皆も、一様に顔を伏せる。

 《平和とは、人のエゴでもある。私は主席などという役職で、それをよく知り、そして対策を学んだ。
 ――過去の事は忘れてくれ、等とは言わない。私を恨んでくれて構わない。だがもし、それでも『平和』を望んでくれるのならば……ほんの少しでいい、私を助けて欲しい》

 殺し文句、である。シンは自身が動揺しているのを実感していた。
 自分はどうすればいいのか。
 自分はこの先、何処に行けばいいのか。
 それより遥か以前に、自分は何故戦っていたのか。
 それすら解らぬままに進んでいた人間に、対抗できる言葉の羅列ではない。
 ――だが、シンは抗い続ける。

 「だからって……!」

 けれど、その先の言葉が出てこない。言葉にしようとしても、まとめる事すら出来そうもない。
 あの時も、あの時も、あの時も――そんな風に思い出から気持ちを引き出そうとしても。
 結局、シンに出来たのは、

 「……肝心な時に逃げたアンタの、説教なんか聞けるかよ!」

 その場から、逃げる事だけだった。

 「シンっ!?」

 コニールの声が、足音が追ってくる。それだけが聞こえていた。




 「『彼らは自然に生まれた者達より、多くの力を持てる肉体と、多くの知識を得られる頭脳を持っている。
 そしてその創造者の意図は、我々人には、まだまだ可能性がある。それを最大限に引き出すことができれば、我等の行く道は、果てしなく広がるだろう』――誰の言葉か、知ってる?」
 「ジョージ=グレンでしょ。C.E15年の時の言葉ね。教科書のトップに載ってる言葉よ。それが?」
 「……誰かが『夢と希望』を提唱しなきゃ、ならなかったのさ。それが当時の最大の問題だったわけ」

 カシムの呟くような物言いに、シノが頷く。
 二人はベルリン郊外は野外カフェの一角に陣取り、先の様な会話を続けていた。理由は「喋るだけ喋ったら引っ込むから」という、カシムの懇願を受け入れての事だ。どうやらカシムとしてもシノに嫌われたくないようで、それを察したシノは付き合う事にしたのだ。

 「人が増えすぎて、行き場も無い。貧富の差は拡大するばかりで、解決の目処は立たず。既得利権を保持した人々はそれを手放そうとせず、結果として『産まれ』の運命はどうする事も出来ず――コーディネイト技術はそうした時に開発されたんだ。『夢と希望』をかなえる為に、ね」
 「そうね。そして、人々は宇宙移民に新天地を求め始めた――成功を収めるため、かぁ」

 オレンジジュースを飲みながら、シノ。口にストローを加えたまま空を見やる。そこにはただ、蒼穹の空が広がっているだけだ。

 「でも、人の願い――エゴに際限は無い。コーディネイト技術は、パンドラの箱だったんだよ。どこまで強化が出来るのか、人の限界はどこなのか。コーディネイトが『進化』だとするのなら、人は当然その先を求め始める」
 「C.E55年の『コーディネイター出生禁止』を定めたトリノ議定書ね。事実上、コーディネイターはこれ以降増やしてはいけなくなった。それで?」
 「実際、闇ルートでコーディネイターは作り続けられているんだけどね。まあ、要点は『人の可能性』ってところなんだ」

 コーヒーを一口すするカシム。どうやら猫舌らしく、本当にちびちびと飲んでいる。辛党で熱い物が得意なセシルとこうも違うものかしら、とはシノの弁。

 「人はどこまで強くなるのか。人はどこまで広がる事が出来るのか。それを突き詰めるだけ突き詰めたのがユーレン=ヒビキの提唱した『スーパーコーディネイター』――すなわち俺、さ」
 「……少なくとも熱いコーヒーには負けてるけどね」

 呆れつつ、シノ。カシムは頭をぽりぽりと掻きながら、ばつが悪そうに俯いた。そんな様子を見ながら、シノが切り出す。今までの話で考えれば、当然その『疑問』に行き着くからだ――カシムの望み通りに。

 「でも、何故スーパーコーディネイターはそれ程規制されたの? 基礎理念はそれこそ昔から有ったんでしょう? 貴方の言う通りだとするなら、もっと挑戦する人だって多かったでしょうに」
 「挑戦する人事態は居たよ。けれど、駄目だった。人の持つ『イデア』を破壊しなければ、スーパーコーディネイトは出来ない。そして、それをすれば確立は100分の1まで落ち込む」
 「……どういう事?」

 カシムが哂う。にやりと、感情を見せずに。

 「スーパーコーディネイターを1人作る為には、100人程度の子供を犠牲にしなきゃいけないって事さ」

 その時、カシムの手がシノに触れた。そして――。



意志とは、自らの気持ちによって決定されるものです。
けれど時として、その決定に自らの気持ちが介在しない場合もあります。
嫌も、応も無く。
――それが常なる者が居るとするのなら、『その人の気持ち』とは一体何なのでしょう?




 敵機来襲の報を受けた時、シンはどこかで「しめた」と思っていた。

 《……お前、まさか『考えなくて済む』なんて思ってないだろうな?》

 Aiレイの問いを、シンは黙殺する。出来そうもないが。イグダストの計器をチェックしながら、シン。

 「大体、リーダーとかが考える事だろ、こんな事」
 《何故リーダーや大尉が黙っているのか、考えないのか、シン。『自分で決めろ』という事なんだぞ》
 「襲ってきている時点で統一連合の意志は決まってるようなもんだろ!?」
 《意志決定が数日経っても発生していない時点で、言い訳のしようもない。むしろ、よく待ってくれていると言うべきか》

 シンとてただ漫然と構えていた訳ではない。部屋に篭ったり、海をじっくりとみたりして考えた。考え続けた――そして結果、『何も決まっていない』という今に至る。

 「襲ってくるなら、戦う。それは俺の意志だ!」
 《……意志、と言っていいのかどうか。まぁ、好きにしろ。付き合ってやる》

 イグダストを立ち上がらせる。眼下に広がる海面――飛び込もうとした時。

 《シン、あのさ……あたしと一緒に逃げない? どこだって生きてく自信くらいはあるからさ》

 コニールの控えめな声が、通信機越しに伝わる。フォース=スプレンダーなら……そう一瞬は思うが。

 「駄目だ。リーダーや皆を置いていく訳にいくかよ」

 シンはそう言い捨てると、イグダストを海中に飛び込ませていた。近付いてきているのは、ディープブルー。あのモビルアーマー相手では、スレイプニールは容易く海の藻屑となるだろう。それはシンにとっても、嫌な事だった。




 「ふむ。臨戦態勢か……どうやら投降や、ましてや主席の提案に乗るという訳でもない、か」

 エイガー=グレゴリーは歴戦の古強者だ。それ故にシンが何に反発し、そして動揺しているのか解る事もある。

 「戦いの歯車――そう教育されてきた者に、いきなり『お前が決めろ』という質問は酷かも知れぬ。だが、カテゴリーSの青年よ。それがお前の選択なのか?」

 エイガーは、或いは哀れんでいたのかも知れない。エイガーの様な年配者が戦場に出て、自らの意志で人殺しを買って出る。それは納得してやっている事で、誰から恨まれても、誰かに祝福されても特に気に病む事は無い。ただ、「そういう人間が必要な時もある」と理解してやっているだけの事だ。
 だが――シン=アスカという人間はどうも、そうではない様だ。

 「奇妙な事だ。今の今まで迷い続けて、しかし……だからこそ生き延びてきた、か」

 不思議だと思う。同時に、エイガーはシンにある種の憧れも抱いていた。誰もが『諦める』のだ――己の力量や技量、出来る事の限界に。そうしなければ、何も成す事は出来ないだろう。己の力を知る事が、己を高める早道に間違いは無いのだから。
 だが、シンはそうではない。諦めないから、拘り続けるから、強くなり、そして迷い続ける。そんな人間を、エイガーは今まで見た事が無かった。それは或いは『憧れ』や『夢』を捨てず、歩み続ける『子供』の姿にも見えた。
 ならば――

 「ふふん。先日の戦いで、儂は死を覚悟した。その思いは決して忘れぬ……そう、今でもだ。命令など、もはやどうでもいい。ただ男として、戦士として――カテゴリーS、シン=アスカよ。お前をねじ伏せて見せよう!」

 ディープブルーが動き出す。呼応するかの様にイグダストの方も対艦刀を構えた。
 争う必要は無い――だが、当人同士にはある。
 だから戦う――愚かと言われても。
 それを戦士の性と言うのならば。

 「逝くぞ、イグダスト!」

 ディープブルーが――加速する!




 背後から発射されてくる高出力ビーム砲『スキュラ』が何度と無く機体を掠めていく。これだけ海中が濁っているのに、イグダストはかなりのスピードで海中を移動しているのに――さすが、と言うべきか。

 《言うまでも無いが、これだけ高いビーム出力ではこちらのパルマでは防御し切れん。下手をすれば掌でパルマが爆発する事態となるだろう――防御は出来ん、抜かるな》
 「わかってる!」
 《更に、前回と同じ戦い方は出来そうもない。相手は距離を取っている――こちらの攻撃レンジを理解し、そして移動距離を理解すれば付かず離れずの攻勢が可能となる。つまり、このままではエネルギー切れ敗北となるだけだ》
 「お前、どっちの味方だよ」
 《事実を言ったまでだ。お前が政略レベルでの勝利を目指さず、あくまでも戦術レベルでの勝利を求めるのならば、それは常に最大級の難易度となる。そういう道を、お前は自ら選んでいるんだぞ》
 「…………」

 それは、そうなのだろう。ただあの時「はい」と言えば、この戦いだって回避出来たはずだ。
 だが――何かが引っかかるのだ。心の奥底にある何かが。
 それが何なのか、解らないから。

 (ルナ……俺は一体、どうすればいい?)

 『生き延びる為の剣』、あの時ルナマリアはそう言った。なるほど、イグダストは確かにその通りの性能を備えたモビルスーツであり、シンによくフィットしている。だが――その後、どうすればいい?

 (生きるだけ。生き延びるだけ……それが悪いなんて思えない。けどさ、なんか……しなきゃならないのか?)

 復讐する相手は既に無く、守るべき国ももはや無く。愛する人にも、もう会えない。
 果たしてその様な人生に『生きる価値』はあるのだろうか?
 ――自問。それだけが続く。それが嫌で堪らなくて。

 「あああっ! もうヤケだ!」

 シンは瞬間的にイグダストを反転させ、突撃する――ディープブルーに向かって。

 《勝算は?》
 「ないっ!」
 《良かろう。ドンと行け》

 このAIが居てくれてよかったと、シンは思う。この状況でただ、納得して励ましてくれる。そんな思考が出来る者が傍に居てくれた事に感謝しながら。
 ディープブルーの顎と思える巨大クローアームが見る見る近付く。口中に光、スキュラも充填されている。いつでも発射出来る様になっていたのだ。
 シンは唾を飲む。瞬間的に対策が浮かんだ――出来る、出来ないではない。やるしかないのだ。

 「パルマじゃ防げないって言ったよな!」

 シンは右手に対艦刀を保持させ、左掌に装備されているパルマフィオキーナを起動させる。

 《言ったとも。記憶力の悪い生徒だ》
 「なら――こうするさ!」
 光が爆発する。ディープブルーのスキュラが発射され、その奔流が真っ直ぐにイグダストに伸びる。掠っただけで容易く死が運ばれてくる、ピンク色の光の奔流だった。
 イグダストは対艦刀を突きの体勢で保持、パルマフィオキーナを腰溜めに構え――




 「……死を覚悟していた割には呆気なかったな」

 ディープブルーのコクピットで、エイガーが呟く。イグダストがこちらを向いて突撃してきた時に、エイガーは淡々と思っていた。「それは、悪手だ」と。
 辺りは障害物の少ない海中、見通しが悪いとは言え、どこかに高速移動する動きにはもう慣れているので見逃さない自信はある。そして、パルマフィオキーナによるビーム防衛手段はこちらの攻撃を防ぎきれるものではない。
 ならば。

 「消し飛んだか……残念だ。立場が違えば、飲み明かしてみたかった」

 エイガーにしてみても、不思議な相手だった。主義や主張ではない、ただ「戦うために、戦う」――そんなスタンスの相手が存在する事にある種の感動を抱きつつ。
 だが次の瞬間、そんなエイガーの感慨は吹き飛んでいた。

 「生きているだと!?」

 そう。イグダストは変わらず、先ほどのポイントに漂っていた――力なく、だらりと浮かぶ様に。
 左腕が肩の辺りから消失している。完全には防ぎきれなかった様だが……そんな程度で防ぎきれる出力では無かった筈だ。

 「……気絶しておるのか?」

 イグダストはぴくりとも動かない。むしろ、自重で沈んでいく様にも見える。それでエイガーはディープブルーに備え付けられた演算コンピュータで先程のイグダストの行動を分析させてみた。
 結果――エイガーはあんぐりと口を開け、呆れていた。
 パルマフィオキーナでまず防御する。パルマはエネルギーを吸収し、出力を増すが、それにも限界は来る。段々と大きくなる球体。そこでイグダストは――あろう事か、そのエネルギー球を対艦刀で突き刺し、自爆させたのである。ビームを受けている側、イグダストから一番遠い箇所に対艦刀を触れさせる事によって。後は簡単、ビーム爆発の余波で残ったスキュラエネルギーを相殺したのである。もっとも、その衝撃を全て受け流せた訳でも無かったようだが……。

 「あの瞬間だけで、生き残る術を選択したというのか……」

 一体なんなのだ、この男は。
 生きる為に戦いながら、死の淵をこそ目指す様にも見える。
 安楽の生を望む事もなく、しかし生に絶望している訳でもなく。
 ――そう、ただ『生き延びる』為ではない。
 もっと違う、何かを求めて。人が、神を求めるかの様に。

 「シン=アスカ。お前は一体……何者だ?」

 エイガーの心に、不思議な感情が浮かんでいた。
 もっと知りたい、この男の事を。この男が何を求め、何を成し遂げるのかを。
 或いは『人』が、何物に成り得るのか、と。
 ……慌ててエイガーは首を振り、思惟を振り払う。

 「儂は軍人だ。感情に流される、その様な事があってはならんのだ!」

 ディープブルーのクローアームを操作する。それはイグダストに触れれば、瞬時に引き裂く事が出来る程度の威力を備えている。もはや戦術も必要ない。ただボタンを押すだけ、簡単な作業で――イグダストは、シンは死ぬ。
 我知らず、唾を飲み込む。これ程緊張した事は、初陣の時以来だろうか?
 初めて人を殺した、あの時の感触。ただ、あっさりと終わった『はしか』の時。
 夢も希望も、理想も主義も。ただのお題目だったと思い知ったあの時の感情。
 そう。捨て去ったはずの、あの感情が。

 「……済まぬ。過去には、もう戻れんのだ」

 淡々と、エイガーはクローアームを操作する。それは迷い無くイグダストに近付き、そして――
 その時、光が生まれた。

 「!?」

 上――海上からの高出力ビーム。それが、クローアームに牽制射撃を浴びせる。

 「新手か? しかし……海上からこれ程精密な射撃を!?」

 海の上からの射撃は、視界が海面の動きによって屈折する。よって、射撃はピンポイントでなく、エリアで行わなければならない。しかしこの射撃はクローアームの指先を狙って攻撃してきている。エイガーの常識では『神技』と断言できる技量だった。
 そして、次の瞬間『それ』が飛び込んできた。
 紅い。真紅の鳥。そう表現すれば良いのだろうか。エイガーはそれを見た瞬間瞠目する。それは次の瞬間、人形に変形。エイガーに確信を与えていた。

 「まさか!? セイクリッドジャスティスだと!?」

 セイクリッドジャスティス――最新鋭のジャスティス系モビルスーツ。それを駆る者はこの世にただ1人、『四英雄』の1人にしてカガリ=ユラ=アスハの腹心中の腹心。元ZAFT最強のトップエース、アスラン=ザラである。

 《これ以上の戦線拡大は、主席の求める所ではない。引いて貰おう――引かないならば、俺が相手をする》
 「……承知」

 何故このような場所にこの男までが現れたのか――エイガーはすぐに思い至った。
 本気なのだ。カガリ=ユラ=アスハの意志は。それは取りも直さず、カガリの真意をも現していた。

 「主席は本気でこの男、シン=アスカに恐れを抱き始めている……そういう事か」

 カテゴリーS。それは、世界を変革しうる力を持つ者の称号。
 その戦闘力は異常の一言で、単機で一軍に匹敵する実力を持つ者達。
 そう――為政者ならば、必ずや脅威を感じる者達なのだ。
 エイガーはディープブルーを反転させると、すばやくその場所を退散する事にした。何をするにしても、今この場所にいては不味いと判断したのだ。だが……湧き上がる笑みを掻き消す事だけは出来なかった。

 「ふふふ……面白くなってきおったぞ。大戦も終わり、もはや戦働きなぞ不要かと思っておったが、中々どうして。まだこの老骨、役立てる機会も増えそうだ!」

 ディープブルーは海中に消えていく。それは脅威が去った事を現しているのではない。
 新たな脅威が、再び押し寄せる――そういう事なのだ。



……思い出せるのは、『事実』だけ。『光景』はもう、思い出せない。
思い出したくない。
わかってる。自分にはもう、直視が出来ないって事は。
わかってる。あの時、自分が一度『壊れた』って事が。
壊れる時って、不思議なの。『音』がするのよ。自分が壊れた『音』が。
――そう。だから、私は『選ばれた』んだと思う。
キラ=ヤマト。あの人に……。




 「……なんでアンタが、こんな所にいるんだよ」
 「お前がいつまでもグズグズしているからだ。通信は一方的に打ち切り、返信もせず。しかも多少は大人になったのかと思えば、変わらぬ癇癪だ。これで心配にならない方がどうかしている」

 スレイプニール艦内、モビルスーツデッキから艦橋に繋がる通路を歩きながら。何故かアスランが前を歩き、シンが後に付いて行く形になっている。

 「大体、主席とやらの護衛はどうしたんだよ。また狙われているんじゃないか?」
 「護衛が1人抜けた程度で、守りきれない様にはしていない。それに直接の脅威が俺の目の前に居る。つまり、
俺はきっちり『護衛』を勤めているという事だ」
 「……詭弁じゃないか」
 「お前が言葉遊びを選択しているだけだ」

 アスランは、シンの心情をよく理解していた。シンは――意外な事ではあるが、生身の人間を殺した事が極端に少ない。だから、シンの敵意を霧散させるためには、武器を捨ててさっさと降りてきた方が良いのだ、と。
 それが何となくわかるから、シンは更にイライラするのである。

 「こんな所に来たって、俺の気持ちは変わらない。さっさと帰れよ。俺に殺されない内に」
 「だから、お前の前に立って歩いてやってるだろ。気に食わないならさっさと殺せば良い。俺はそれだけの事はしたと自覚している」
 「いけしゃあしゃあと……!」

 だんっと壁を叩く。視線で人が殺せるのなら――そういう気持ちでシンはアスランを睨み付ける。振り返り、そんな視線を涼しい顔で受け流すアスラン。

 「……恨んで、殺すならそれもいい。だがせめて――せめて、そこからは立ち直ってくれ。お前にはもう、戦う理由なんかない。もう、無いんだ。それだけはわかって欲しい」

 もう一度、シンは壁をだんっと叩く。

 「アンタがあの時裏切らなければ、俺はこんな事に、こんな場所に居なかった! アンタが全部悪いんじゃないか!」
 「なら何故、さっさと殺さない! 何を躊躇っている! シン、お前は一体どこに向かおうとしているのか、自分で解っているのか!?」

 シンとアスラン、視線の火花が散る。先に逸らしたのはシンだった。
 そして、やっと理解していた――自分がアスランに何を求めていたのか、を。

 (馬鹿みたいだ、俺……『支えて欲しかった』なんて)

 俯くシン。そんなシンを一瞥すると、アスランはまた身を翻し、言う。

 「お前に見せたいものがある。付いて来い」

 そう言ってアスランはスレイプニールの艦橋に向かって、再び歩き出す。どこかでシンはその背中を懐かしみながら、しかしそれを認めることも出来ず――しかし付いて行く事しか出来ないのも理解しながら。
 のろのろと、スレイプニールの艦橋に向かう事しか出来なかった。




 《シンさん!》
 「……ソラ?」

 レーザー通信が既に結ばれていたらしい。艦橋に入った瞬間、明るい声が聞こえてきた。

 《へぇ、この人がソラの思い人かいな。見せたかったでぇ、アンタが死んだってニュースを聞いた瞬間のソラの顔》
 《ちょっ、ちょっとハーちゃん!?》
 《あのな、一応これ公用通信なんだが……ま、いいか》

 画面に所狭しと三人娘が映る。ソラ=ヒダカ、ハナ=ミシマ、カガリ=ユラ=アスハ。屈託無く笑う、いい笑顔で。
 シンにしても緊張が解けるのがよくわかった。

 「何してるんだよ、そんな所で。オーブに帰ったんじゃなかったのか?」
 《まあ、色々ありまして。あ、そうだアスランさん。シーちゃんが見つかったんですよ!》
 「随分あっさり見つかったな。何処に居たって?」
 《ベルリン市内です。警察の人が見つけてくれて……》

 アスランは一瞬、考え込む。だが、せっかく見つかったものを不安にさせる事もないと判断したのか、努めて笑って見せる。

 「良かった。これで問題の大半は片付いたな。残るはシン、お前位だ」
 「おい、一緒にするなよ」
 「似たようなものだ」

 ふふん、とアスラン。そんな様子を見届けたのか、それまで黙っていたロマ=ギリアムが立ち上がる。

 「どうやら結果は出たようだね、シン」
 「リーダー……」

 シンはどこか、捨てられる犬のような寂しそうな顔だ。しかし、ロマは強く、努めて微笑んで頷く。

 「君が誰より自分に厳しく、そして――誰よりも人々の為に戦ったのか、私は良く知っている。ならばそろそろ、君自身が幸せになって良い頃だ。そしてこれは私と、他のクルー皆の総意でもある……今までよくやってくれた、シン」

 ロマが右手を出し、シンの右手を掴む。シンは成す術もなく、その力強さを感じる。
 ロマが本気で自分の事を思ってくれている、それはとても嬉しい事だった。だが、シンはどうしていいか解らず。

 「俺は……」

 ぱくぱくと周囲を確認しながら。何か言葉を紡ごうとして、それに気が付いた。
 モニタの向こうで、一番後ろに控えていた少女。黒髪の少女――シノ=タカヤという名前だとシンは知らない――が懐から拳銃を取り出し、こちら側に構えた事を。
 今、誰もがシンに集中していて、その事を誰も理解出来ていない事を。
 誰を狙っている? カガリか? それとも――

 「振り向くな! 伏せろっ!」

 考える暇は無かった。シンが絶叫し、ようやく皆がその光景を目にして。
 ――鮮血が、画面に飛び散った。




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