スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←気が付けば一年経っていた。 →1-2
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


  • 【気が付けば一年経っていた。】へ
  • 【1-2】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

 SEED Revival-Ver.ARIS-    第一部「導かれし運命」

1-1

 ←気が付けば一年経っていた。 →1-2


 黄金の秋。
 豊穣、豊作といった事柄を連想させる言葉。そうした言葉は今、自分が見ている光景を評するのに使えるのだなとソラ=ヒダカは思う。
 大地には世界の端まで続く麦畑、そしてそこを埋め尽くすようにたわわに実る麦穂。黄金色に輝く光景は比喩でも、そうでなくても確かに『黄金の秋』と呼ぶに相応しい光景だった。
 しかし、そこは地上というには少々不思議な大地だった。世界は端の方で奇妙に上側にめくり上げられ、大地が壁になり、或いは空になる。上を見上げればそこにも大地が在り、青い空というものは存在しなかった。しかし世界は明るく、風が吹き、麦穂を優しく撫で付けている。生命の息吹に満ちているのだ。
 そう、ここはスペースコロニー。天秤型スペースコロニーと総称される形式の、人類が造り上げた世界。人が宇宙に住まう為に作られた、人工の故郷である。
 ソラはそっと、麦穂に触れる。折らないように細心の注意を払って。麦穂の重みを掌で感じると、ソラは満足そうに頷いた。

 「やっと、ここまで来ました。やっと……」

 二年前、世界は未曾有のエネルギー危機、食糧危機に襲われた。否、それは二年前に限った話ではない。世界がずっと抱えてきた問題だった。そしてそれは今も解決したわけではない――だが、希望が無いわけではないという所までは回復してきている。
 この麦畑がそれらを解決出来るわけではない。だが、状況を少しでも良くする事は出来るはずだ。
 二年の間に髪が伸び、今は腰まで届く髪を風になびかせながらソラは思う。
 この光景は二年前には誰も作れなかった光景なのだと。

 (人が、人を救う。人が、世界を救う。そんな当たり前の事が、出来なかった――そんな余裕が無かった時代。けれどそんな中で、私に『人を救え』と教えてくれた人達が居た……)

 人が人を殺し、世界が人を殺した時代。そんな最中にも、人は生きていた。
 生きるために生きて、生きるために死んだ。
 それは、誇る事は出来ないことかもしれない。蔑むべきことなのかもしれない。
 けれど……ソラは思う。

 (私は、伝えていこう。それが決して良いことではなかったとしても。それが決して、誉められた事ではないと知っていても。彼等が誇りを持って、思いを紡いでいったことを知っているから。彼等が懸命に、生きていこうとしていた事を知っているから……)

 ソラは、世界を見上げた。コロニーに吹く風を見送るように、彼女の思いが世界に散っていくのを見定めるかのように。
 彼女が語るは『種子』の物語。人の思いが詰まった、次代へ伝えていく物語。辛く悲しいけれど、それでも希望に向かって走り続けた物語――。



『MOBILE SUIT GUNDAM SEED Revival』

~導かれし運命~
スポンサーサイト
  • 【気が付けば一年経っていた。】へ
  • 【1-2】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

~ Trackback ~

トラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【気が付けば一年経っていた。】へ
  • 【1-2】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。